訴状(いばらきパートナーシップ宣誓制度)

訴    状

令和1年12月16日

水戸地方裁判所 御中

〒300-3261 つくば市花畑3丁目11番地3-303
原        告   金 田 圭 介       印
〒310-8555  水戸市笠原町978番6
被        告   茨城県知事 大 井 川 和 彦

県営住宅入居許可差止等請求事件
訴訟物の価額 算定不能
貼付印紙代   1万3000円

請求の趣旨

1 被告は、同人が要綱として定めた、いばらきパートナーシップ宣誓制度(以下「本制度」という。)に基づく、いばらきパートナーシップ受領証等(以下「受領証等」という。)の受領者に対する茨城県営住宅への入居許可、以後の受領証等の交付ほか、同制度に関して一切の公金を支出し、契約を締結し、又は債務その他の義務を負担してはならない。
2 受領証等の交付を受けて県営住宅に入居した者に対しては当該県営住宅の立地、建物の構造等から判断した相場の賃料と入居者が支払った賃料の差額を、既に交付した受領証等については受領者に返還を請求せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
との裁判を求める。

請求の原因

1 当事者
⑴ 原告は、茨城県つくば市の市民である。
⑵ 被告は、茨城県の公金の支出、契約の締結又は債務その他の義務の負担などの行為につき権限を有する者である。

 

2 差止めを求める対象
茨城県における、いばらきパートナーシップ宣誓制度に基づき、被告は受領証等の交付、受領書等受領者に対する茨城県営住宅への入居許可、その他の公金支出、契約締結又は債務その他の義務を負担しようとしている。
県営住宅への入居許可は事実上の賃貸借契約である。

 

3 違法性
⑴ 地方自治法第14条2項違反
地方自治法第14条2項は、条例よらなければならない場合について「義務を課し、又は権利を制限する」場合と規定する。
本制度は、確かに県民に義務を課し、権利を制限するものではない。
しかし、地方自治法第211条がいわゆる財政民主主義を規定する趣旨からすれば、地方自治法第14条2項は、少なくとも県民に対し財産的権利ないし利益を付与する場合にも、条例によるべきことを求めるものというべきである。
実質的にも、言うまでもなく県の財源は有限である。財産的権利利益の付与を拡大するときは、防災、福祉、教育などの予算が制約を受け、県民の権利利益が侵害ないし制約されるものである。県政への民主的コントロールを通じた県民の権利利益保護という地方自治法第14条2項の趣旨は同じく妥当する。
この点、本制度は、これにより低廉な県営住宅に入居することが可能となるものであり、県民に財産的利益を付与するものである。
とすれば、本制度は要綱ではなく条例で定めるべきものである。
以上から、本制度に基づく入居許可は地方自治法第14条2項に反する。

⑵ 茨城県県営住宅条例第6条違反
同条第2号は、県営住宅入居の条件として、「現に同居し,又は同居しようとする親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。)があること」と規定する。
この点、同性パートナーが「親族」に該当しないのは文理上当然である。
さらに、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」は、その後に「その他婚姻の予約者を含む」と規定されていることからも、異性間であることを前提としているものであり、これに同性パートナーを含めることは条文の文理解釈の域を逸脱する。
憲法第24条が婚姻につき「両性」間でなされることを規定していることからも「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」は異性間であることを前提とするというべきである。
以上から、本制度に基づく知事の県営住宅の入居許可は茨城県県営住宅条例第6条に反する。

⑶ 茨城県県営住宅条例及び憲法第25条違反
県営住宅は、言うまでもなく入居できる世帯数に限りがある。
本制度により入居対象が拡大することで、本来、父親を失い子供を抱えた母親のように、やむをえない経済的、家庭的理由から低廉な住宅を必要とする世帯(県営住宅制度が、かかる世帯を想定していることは県営住宅募集案内からも伺える)が入居できなくなる恐れがある。
本制度に基づく県営住宅入居許可は、やむをえない経済的、家庭的理由から低廉な住宅を必要とする世帯に、まず住宅を提供するという茨城県県営住宅条例、および、国民の生存権を保障する憲法第25条の趣旨に反し違法である。

⑷ 憲法第13条違反
本制度は同性パートナーにつき婚姻と同様に取り扱うものであるところ、同性パートナーは両者に子供を作ることはできないが、養子を貰うケースがある。
しかし、同性婚を導入した外国では、同性パートナーが育てる子供に配慮して、公文書の「父親・母親」という表記を「親1・親2」に置き換えるという事態となっている。
日本でも同性パートナーシップ制度を認めれば、次いでこのような表記導入を初め、従来の家族概念を破壊する措置が導入されていくであろうことは明白である。
かかる措置等は、父、母、子で構成される家庭の幸福追求権を侵害するものである。

また、同性パートナーの養子となった子供にとっても、自身に2人の父親または母親がいることに困惑し、その心情、成長に悪影響をもたらされるものである。
現状でも夫婦が離婚した後、相手方配偶者に引き取られた子供への面会には制限がある。その理由の1つとして、相手方配偶者が再婚した場合、子供が複数の父親または母親がいることに困惑し、その心情、成長に悪影響をもたらすことを防止することが挙げられている。
かかる法律上の取扱に鑑みても、同性パートナーにつき婚姻と同様に取り扱う本制度は、子供の幸福追求権を侵害するものである。
以上から、本制度に基づき同性パートナーを婚姻関係にある夫婦と同様に扱い県営住宅への入居を許可することは憲法第13条に反する。

 

4 監査請求
原告らは、令和元年、茨城県監査委員に対し、地方自治法第242条1項に基づき、上記違法な県営住宅の入居許可等について住民監査請求を行ったが、茨城県監査委員は、同年11月19日、監査請求を却下し、その通知は同年11月21日に原告に到達した。
茨城県監査委員は通知において、「(本)制度を利用して県営住宅に入居したとしても、それにより家賃等の減免が受けられることはなく、県は当該制度を利用しない入居者と同等の家賃等を徴収することとなる。」として県に損害が発生するとは認められない旨を主張する。
確かに、県営住宅入居者相互では賃料徴収に差異はない。

しかし、同性パートナーは本制度がなければ、賃料が低廉に設定されている茨城県営住宅に入居できず、当該県営住宅の立地、建物構造等から定められる通常の賃料が定められている、いわゆる相場の賃料の一般の住宅に入居することとなる。
仮に茨城県が所有する建造物を、福祉、低所得者対策という政策趣旨によらずに貸し出すときは、相場の賃料を徴収できるものである。

本制度は上記のように違法であるから、いわゆる相場の賃料と、本制度を利用した入居者が支払った、または支払うべき賃料の差額は一種の逸失利益というべきであり、県には損害が発生しているというべきである。
実際上も、本件のような場合に県に損害がないとして扱うと、長の要綱で特定の組織・団体・集団等にのみ公営住宅の提供や公的事業の発注をしても法的に争う方法がないことにもなりかねず、地方公共団体の財務の適正を確保し、住民全体の利益を保護するという住民訴訟の制度趣旨を害する。

 

添 付 書 類

1.甲第1号証写し
2.甲第2号証写し

「訴状(いばらきパートナーシップ宣誓制度)」への1件のフィードバック

  1. 訴状を作成するのは大変な作業ですよね。本当にお疲れ様です。まず訴状3 ⑵ 茨城県県営住宅条例第6条違反についてですが、同条第2号の趣旨としては、県営住宅入居条件がある。その条件とは明らかに家族形成がなされていると解釈すべきである。つまり家庭を意味するものである。家庭とは夫婦、そしてその夫婦間の事実上の子供を意味するのである。次に婚姻の届出をしなくても事実上婚姻関係にあるとは何か。やがて子供が生まれてという前提ではないのか。同性愛者間では子供ができる筈がないので、単に同性愛者同士のことである。つまり家庭を築いているとはいえない。憲法24条にいう、婚姻の成立としての両性の合意のみに基づいて成立とある。であるがゆえに、同性愛者とは、一般的にゲ○やレ○○○○ンといわれる人達の性○の問題ではなかろうか?それに伴う憲法13条にある個人の尊重とは、どこまでが限界なのか?幸福追求権が無制限に認められるなら、妹や姉との婚姻、更には親子間婚姻までが認められることになる。これでは従来の家制度が崩れてしまう。なぜ知事が議会の同意も得ずこのような制度を設けたのか?理解に苦しみます。とにかく、この問題については、多くの皆さんに知ってもらいたい。

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