私と日本第一党 第六話 慟哭 | 右寄進のつぶやき

6月中旬の頃だった。

いつも通り何気なく仕事をしていた。

するとある人が、私の耳元で「以前ここで働いていた と○○さん 亡くなったらしいよ」と教えてくれた。

訃報を聞き頭の中が真っ白になった。そして大切な人を失ったショックのあまり、力が抜けてしまった。

 

「なんで?なにがあったの?」と尋ねたが、既に別の会社で働いているので、もう詳しい事は分からないとのこと。

亡くなった方は女性で、偶然年が同じであった。遡ること数年前、今の会社に入った時から、その人とは、ずっと同じ部署で働いていた。最初は仕事のやり方が違うと、「そうじゃないでしょ~ こうなんです」と、非常に口うるさい、気の強い女性だ。

たしかに、仕事は完璧にこなす女性だった。

「うるせー女だな~」って最初はそう思った。

でも、こちらも仕事が慣れてくると、「これはこうだ~ そうだろ~」なんて、ぶつかることも多々あった。今となっては懐かしい。だからこそ込み上げてくる何かがあるのだ。

最初は喧嘩していたが、時が経てばお互いが理解し合い、次第に親しくなった間柄だ。そんな経緯があったので、悲しみのあまり仕事を後にした。

 

誰もいない場所で一人で思いっきり泣いた。そして家に帰ってからも泣いた。

何もかも失ってしまった悲しさを実感した。

「もう会えないのか」そう思うと、悲しさが一層込み上げてくる。

 

彼女が会社を辞めたのは4年前になる。それでも最初の頃は電話やメールでやり取りはしていた。

今となっては電話も通じないし、メールを送っても返事は来ない。もっと色々話したいことがあったのに、連絡しなかったことを後悔している。

 

そう思い泣きながら食事をしていると、母が事情を訊ねてきた。

話をすると「それだったら、その人にお線香をあげてやれば」と一言。

それに対し「だって、お墓は知らないし…」すると母が「以心伝心っていって、心と心が通じ合っていれば思いは届く。だから仏壇からお線香をあげてやればいいだよ」と言う。

「仏壇ってどこの?」

すると母が「自分の家の仏壇からいいんだよ」と言う。

それならばと思い、家の仏壇から線香をあげると、なんと心の中がスッキリしたではないか!

モヤモヤしていたものが消えてしまったのである。

これは、亡くなった人を忘れたわけではない。おそらく自分の思いが亡き人に届いたのだと思う。若くして亡くなってしまったのだから、この世に未練があったのは当然で、成仏してもらいたいと思う。でも不思議ですね!自分の家の仏壇からお線香をあげて、それで気持ちが通じるなんて!

 

党の仲間にも事情を話すと「どんな人だったの?」と尋ねられた。

そういえば思い出したことがある。彼女は、政治には全く関心がない人だった。なので選挙の投票用紙が郵送されてきても、即ゴミ箱に入れてしまうとのこと。

そんな彼女ではあったが、その党員が言ってくれたことを今でも忘れられない。

 

「もしその人が生きていたら、選挙に行きたくなるような、そんな世の中にすればいいんじゃないか?」

 

なるほどと思った。

それ以降は、彼女が生きていたら「絶対日本第一党に一票入れるような党にしてやる」そんな思いを込めて活動している。

 

それから2カ月後、お盆の期間中のことである。

私は、その年に新盆を迎える同じ組合の家へ挨拶に行った。帰り際、お返しの品物をもらった。その中にビールは入っている。

「ん。確か と〇○さん いつも夜はビールを飲んでるって言ってたな~」

私は家で酒は飲まない。しかし、この日は別だ。ビールを半分コップに注ぎテーブルに置いた。

「と〇○さん よかったらビール飲んでね!」

そして自分でも飲んだ。その日は疲れて、そのまま畳の上に寝てしまった。

 

そして翌朝6時頃だ。

 

不思議な事が起きた。

 

私の耳元で「チ~ン」と仏壇の鐘の音が鳴ったのである。

 

直ぐに目を覚ますが、当然誰もいない。

「もしかして、と〇○さん? そうだよね~」

確かに彼女は、生前私にイタズラばかりしていた。それを考えると、仏壇の鐘の音は絶対 と〇○さんのイタズラだ。

私は嬉しかった。

来てくれたんだ。久しぶりに心安らぐ瞬間だった。これは事実であり、決して嘘ではありません。

「こんな不思議なことあるんだな~」

そう思った。

 

人間生きてる時は、金・権力・名誉、そして自分が死んでからは、戒名とかに拘泥する人がいる。

実は自分もその一人なのだ。

しかし今回彼女が亡くなってから、そんなものどうでもいいと思うようになった。大切な人が生きている。それだけでいい。生活に不自由のない金があれば、他はどうでもいい。そう思えた。

 

その日は8月15日だ。

 

気分良くして靖国神社に向かったのは言うまでもない。

 

最後に一言。

 

「と〇○さん 今までありがとう。色々お菓子くれたり、面倒見てくれたりしてくれたネ!こちらからは、何もしてあげられなかったのに… ゴメンネ! もう何もしなくてもいいんだよ」

 

謹んでお悔やみ申し上げます。でもたまにはイタズラしに来てね!

 

PN.右寄進

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